ISOコンサルタント:トップ > ISO/TS16949取得支援 > ISO/TS16949とは
自動車は1台当たり3万点以上の部品から構成されており、また人の命にも直結する事から非常に厳しく管理され、市場での品質要求にも厳しいものがあります。したがってこの膨大な部品の品質をPPM(Parts Per Million 百万分率)レベルで管理し、お客様のニーズに答える為のばらつきのない品質などに関して、特別な要求事項が必要になってきます。しかしISO9001ではお客様のニーズ、顧客(下図参照)の要求事項は満たされません。そこでISO9001をベースに自動車業界独特の要求事項を加えた規格としてISO/ TS16949が制定されました。この認証制度を管轄するのは国際的な自動車産業連合組織であるIATF(International Automotive Task Force)であり審査登録機関の承認に厳しい基準を設けるとともに、審査員の質についてもきわめて高度な能力を要求しています。
昔は自動車部品のサプライヤーに対する自動車メーカーの品質要求事項(QMS)は各自動車ごとに異なっていました。サプライヤーにとってはメーカーごとにQMSが違うわけですから非常に不合理でした。この不合理を解消する為、要求事項を統合する動きが出てきて、ISO9001:1987が発行されると、それをベースに初めて自動車セクター規格としてドイツでVDA 6.1が発行されます。その後ISO9001:1994が発行されると、アメリカ=QS-9000、フランス=EAQF、イタリア=AVSQが発行されISO9001に基づく4つのセクター規格が存在する事となります。次にこの4つの規格を統一する動きがでてきて、ISO/TS16949:1999 が発行されます。(セクター規格は並存)しかしISO/TS16949 :1999は自動車メーカーでは必ずしも満足のいく規格ではありませんでした。その後ISO9001:2000が大幅な改定後発行されたのを受けてISO/TSも、より顧客満足度に重点を置くなど大幅な改訂が入り現在のISO/TS16949:2002が発行される事となります。現在は最新版としてISO/TS16949:2009が発行されています。
ISO/TS16949の認証基準は大まかには、@顧客固有要求事項、AISO/TS16949規格要求事項になります。顧客固有要求事項とは、自動車産業顧客(取引先)が発行する文書で、QMSに関する顧客独自の要求です。ISO/TS 16949の認証審査は、規格に加えてすべての顧客固有要求事項との組み合わせで行います。ゆえに、ISO/TS16949の認証を目指す組織は審査対象全顧客の固有要求事項を入手、実施しなければなりません。
◇ 顧客が顧客固有要求事項を規定していない場合は、ISO/TS 16949規格のみの審査となります。
◇ 顧客契約に製品設計が含まれていなければ、製品設計を除外することは可能です。この場合、製造だけの登録となりますが製造工程があるサイトが審査登録の対象となり、製造工程設計は除外することができません。
コアツール(基本技術)とは、AIAGから発行された中核技法で、サプライヤにとっては自動車メーカーと継続的な取引を進めていく上での推奨事項となってます。コアツールは以下の5つがあります。
■ APQP (新製品開発品質計画)
■ PPAP (製品部品の承認プロセス)
■ FMEA (潜在的故障モード影響解析)
■ SPC (統計的工程管理)
■ MSA (測定システム分析)
ISO/TS16949の認証数は2016年において、1位 中国 22800組織、2位 韓国 4800組織、3位 インド 4600組織、4位 アメリカ 4100組織、5位 ドイツ 3400組織、6位 日本 1400組織、7位 タイ 1350組織、8位 メキシコ 1300組織、9位 イタリア 1240組織、10位 ブラジル 1230組織となります。増減数は前年比で、1位 中国 2500組織、2位 アメリカ 450組織、3位 インド 360組織、4位 ドイツ 147組織、5位 日本 130組織となります。日本では昨年おおよそ3日に一度ISO/TS16949の認証組織が誕生したことになりますが、中国では平日換算で1日に約10社認証されていることになります。企業数が違うとはいえ他国と比較しても驚異的な伸び率となります。
ISO/TS16949は、ISO9001に自動車業界固有の要求事項を追加した規格となり、大項番、中項番はISO9001に変更はなく、小項番以下での追加要求事項が確認されます。ISO/TS16949:2009では以下の要求事項が追加されています。
項番:タイトル |
追加 |
序文 |
0.5 このTSの到達目標 |
3. 用語及び定義 |
3.1.1 コントロールプラン〜3.1.12 特殊特性 |
要求事項 |
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中項番(変更無し) |
小項番(追加) |
4.1 一般要求事項 |
4.1.1 一般要求事項 −補足 |
5.1 経営者のコミットメント |
5.1.1 プロセスの効率 |
6.3 インフラストラクチャー |
6.3.1 工場、施設及び設備の計画 |
6.3.2 緊急事態対応計画 |
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6.4 作業環境 |
6.4.1 製品要求事項への適合を達成する為の要員の安全 |
6.4.2 事業所の清潔さ |
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7.1 製品実現 |
7.1.1 製品実現の計画 −補足 |
7.1.2 合否判定基準 |
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7.1.3 機密保持 |
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7.1.4 変更管理 |
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7.6 監視機器及び測定機器の管理 |
7.6.1 測定システム解析 |
7.6.2 校正/検証の記録 |
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7.6.3 試験所要求事項 |
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8.1 一般 |
8.1.1 統計的ツールの明確化 |
8.1.2 基本的統計概念の知識 |
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8.3 不適合製品の管理 |
8.3.1 不適合製品の管理 ー補足 |
8.3.2 手直し製品の管理 |
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8.3.3 顧客への情報 |
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8.3.4 顧客の特別採用 |
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データの分析 |
8.4.1 データの分析及び使用 |
※ 6.2.2.1などの小項番以下での追加も有
ISO/TS16949を認証するとISO9001も認証したことになります。ISO/TS16949のバージョンは基本的にISO9001のバージョンが変更されてから行われますので、ISO/TS16949認証のバージョンによりISO9001のバージョンも違ってきます。例)ISO/TS16949:2002で認証の場合、ISO9001は2000年度版で認証、ISO/TS16949:2009の場合、ISO9001は2000年度版。
■ IATF Rule4において「適用範囲」の考え方に変更があり、「一部の部品」のみでの認証が基本は不可になっています。しかし、審査会社での見解に違いがみられ、最終的には「自動車部品」全ての工程が適用範囲となるという考えの審査登録機関もあります。例えば、初回は認証範囲を限定し、将来の計画として徐々に適用範囲を広げていく事でTS/ISO16949認証が可能なところもあれば、初回認証から自動車部品は全て適用範囲としなければ認証できないという審査機関もあります。ISO/TS16949の認証を考える場合、まずは様々な審査登録機関の適用範囲に関する考え方をきちんと理解し、適用範囲を確定する必要があります。
■ ISO/TS16949の審査ではコンサルタントの立ち会いは認められていません。また、審査員は初回認証から更新認証までの期間は変更できず、また、3年間を超えると必ず変更しなければいけないというルールがあります。余談ですが、通常のISO規格の認証ルールとは異なり認証後の「有効期限」(登録証日付)が違ってきます(基本は同一日にはならず前倒しになります)。
■ ISO/TS16949の審査ではSt.1からSt. 2迄は30日以内、St.2から是正完了までは90(再是正含む)日以内、是正完了からISO/TS16949認証までは30日以内と審査スケジュールが決定されています。
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