ISOコンサルタント:トップ > IATF16949取得支援 > IATFルール第6版重要な変更点
2025年1月1日から全面的されるIATFルール第6版では、従来の第5版から、審査サイクル、認証サイトの考え方、Extended Manufacturing Site(拡張製造サイト)、Remote Support Location(リモート支援拠点)、審査工数、Stage 1審査、審査前の情報提出、顧客パフォーマンス、不適合への対応など、多くの重要な変更が行われています。 これらは認証機関だけに関係する変更では無く、すでにIATF16949を認証取得している企業にとっても、実際の認証維持活動に直接影響する内容が含まれています。 特に、複数の製造拠点や本社・設計・購買などの支援拠点を持つ企業では、これまでの認証範囲やサイト構成が第6版でも適切なのか、改めて確認することが重要です。 ここでは、IATF16949ルール第5版と第6版を比較しながら、認証企業が特に押さえておきたい変更点と、実務上どのような対応が必要になるのかを解説します。
IATF16949ルール第6版では、認証審査の方法や審査サイクルだけでなく、製造サイト・支援拠点の考え方、審査工数、審査前の準備、不適合への対応など、認証企業の実務に関係する多くの変更が行われています。
主な変更点と、認証企業に求められる対応を第5版と比較すると、以下のようになります。
主な変更項目 |
ルール第5版 |
ルール第6版 |
認証企業への主な影響・対応 |
|
6か月、9か月、12か月の審査サイクル |
原則12か月周期に統一 |
年間の内部監査、マネジメントレビュー、審査準備などを12か月周期に合わせて計画的に管理することが重要 |
Extended Manufacturing Site(EMS)
|
現在より地理的条件が緩く、運用上の判断を含む |
メイン製造サイトから10マイル(約16km)以内、かつ通常の移動時間60分以内など条件を明確化 |
第二工場、別棟工場、倉庫等をEMSとして登録している場合、現在のサイト構成を再確認する必要がある |
Remote Support Location(RSL)
|
支援機能を審査対象として管理 |
支援機能の審査サイクルや製造サイトとの関係をより明確化 |
本社、設計、購買、営業、品質、IT、人事等について、「どの拠点がどの製造サイトを支援しているか」を明確にする必要がある |
間接的なリモート支援
|
直接的な支援関係を中心に確認 |
RSLを経由して製造サイトを支援する機能についても、その関係・インターフェースを確認 |
海外本社、海外設計センター、グループ共通機能などを含めた支援関係の整理が重要 |
Stage 1審査
|
初回認証における準備状況等を確認 |
Stage 2へ進むためのReadiness Assessmentとして明確化・強化 |
Stage 1までに認証範囲、サイト構成、QMS、内部監査、マネジメントレビュー等を十分に準備する必要がある |
審査工数の削減 |
複数の削減条件を適用できる仕組み |
審査工数削減の合計上限を30%に制限 |
条件によっては従来より審査工数が増え、審査費用にも影響する可能性がある |
Corporate Scheme |
複数サイトを共通QMSで管理する企業に対する審査工数削減等を設定 |
Corporate Schemeにおける審査工数算定や各サイトの扱いを明確化 |
複数工場を一元管理している企業は、認証構造や各サイトの審査工数を再確認する必要がある |
製造現場に対する審査時間 |
審査時間のおおむね1/3を製造現場に配分 |
最低30%を製造プロセスの審査に配分 |
文書確認だけではなく、実際の製造工程・現場でQMSが機能していることがこれまで以上に重要 |
審査日程の管理 |
従来ルールに基づき審査日程を設定 |
次回審査について原則90日前までの調整・確定が重要 |
審査直前の調整ではなく、早い段階から認証機関と審査スケジュールを調整する必要がある |
審査前情報の提出 |
認証機関が審査計画に必要な情報を事前に収集 |
提出情報を拡充し、原則として審査開始30日前までに必要情報を提出 |
QMS文書、CSR、顧客パフォーマンス、内部監査、MR、不適合等を日頃から整理しておく必要がある |
Audit Plan(審査計画) |
認証機関が事前に作成・通知 |
原則として審査開始14日前までに認証機関から提示 |
事前に審査対象プロセスや時間配分を確認し、関係部門・担当者の準備を進めることが重要 |
顧客パフォーマンス |
OEM等の品質・納入実績を審査で確認 |
Quality/Delivery Target未達の場合の対応や追加審査時間等をより明確化 |
OEM Scorecard等を継続的に監視し、未達の場合は原因分析、是正処置、水平展開まで実施することが重要 |
追加審査時間 |
必要に応じて追加時間を設定 |
不適合、顧客パフォーマンス、変更等に伴うAdditional Audit Timeの考え方を明確化 |
企業のQMSや顧客評価の状況によって、通常の審査工数に追加時間が発生する可能性がある |
Major Nonconformityへの対応 |
重大不適合に対する是正処置期限を規定 |
Major NC発生後の初期対応をより迅速化し、15日以内の対応等を要求 |
不適合発生後に体制を検討するのではなく、迅速に封じ込め・原因分析・是正処置を実施できる体制が必要 |
不適合の是正確認 |
是正処置について認証機関が確認 |
Major・Minor NCの是正確認に必要な追加審査時間をより明確化 |
不適合が審査工数・費用にも影響する可能性があるため、確実な原因分析と再発防止が重要 |
サイト・拠点の変更 |
移転や変更について認証機関へ通知・評価 |
製造サイトやRSLの移転・変更に伴う影響評価をより明確化 |
工場移転、レイアウト変更、支援拠点変更等を行う場合、事前に認証への影響を確認する必要がある |
認証機関の変更(Transfer) |
認証機関変更の手続きを規定 |
Transfer Processを見直し、従来の認証状態や不適合、顧客実績等の確認を強化 |
「認証機関を変更すれば過去の問題がリセットされる」ものではなく、変更前の審査・不適合等も引き継がれる |
− ルール第6版への変更で特に注意すべきポイント −
第5版から第6版への変更を見ると、単に「審査の手続きが変わった」という改訂ではないことがわかります。
特に重要なのは、認証サイト・支援拠点の実態を正確に把握すること、顧客パフォーマンスとQMSを結び付けて管理すること、そして審査準備や不適合対応をより計画的かつ迅速に行うことです。
そのため当社では、ルール第6版対応にあたって、まず現在の認証範囲、Manufacturing Site、Extended Manufacturing Site、Remote Support Location、Corporate Schemeなどの構成を確認し、そのうえで「自社では何を変更・見直す必要があるのか」を整理することが重要だと考えています。
1.サーベイランス審査は原則「12か月周期」へ
第5版では、サーベイランス審査について6か月、9か月、12か月という複数の審査サイクルが設定されていました。第6版ではこれが整理され、サーベイランス審査は原則12か月周期となりました。IATF16949の認証維持においては、単に「毎年1回審査を受ければよい」のではなく、定められた審査時期を外さないよう計画的に管理する必要があります。認証企業としては、内部監査、マネジメントレビュー、顧客評価、CSR(顧客固有要求事項)の確認などを審査直前にまとめて行うのではなく、年間スケジュールとして管理することがこれまで以上に重要になります。
複数の工場や製造拠点を持つ企業では特に注意が必要です。ルール第6版では、Extended Manufacturing Site(EMS:拡張製造サイト)として取り扱うための地理的条件が明確化され、原則としてメインの製造サイトから「10マイル(約16km)以内」かつ「通常の移動時間で60分以内」という条件が設定されています。これまで一つの製造サイトの一部として認証を受けていた第二工場や別棟工場などが、第6版では独立したManufacturing Siteとして取り扱われる可能性があります。これは単なる名称変更ではありません。認証サイトの構成が変われば、認証範囲、審査工数、審査費用、Certificate、支援機能との関係などにも影響する可能性があります。複数拠点を持つ企業は、現在の認証サイト構成が第6版でも適切なのかを確認することが重要です。
IATF16949では、製造工場だけを見ればよいわけではありません。例えば、本社や別拠点で行われている製品設計、購買、営業、品質保証、人事、IT、物流、経営管理などの機能が製造サイトを支援している場合、その拠点がRemote Support Location(RSL)としてIATF審査の対象となる場合があります。第6版では、このリモート支援機能の審査に関する考え方がさらに明確化されています。特にグローバル企業では、「日本工場を日本本社が支援し、日本本社を海外本社や海外設計センターが支援している」といった複雑な組織構造があります。このような場合、直接的な支援機能だけでなく、間接的な支援関係やインターフェースまで正しく整理することが重要です。当社では、ここが第6版対応において特に注意すべきポイントの一つだと考えています。組織図だけではなく、「どの機能が、どの製造サイトに対して、何を支援しているのか」を明確にすることが重要です。
これからIATF16949を新規取得する企業にとって重要なのがStage 1です。ルール第6版ではStage 1が、Stage 2認証審査へ進むことができる状態にあるかを確認するReadiness Assessment(準備状況評価)として、より明確に位置づけられています。そのため、「まずStage 1を受けて、不足しているところを指摘してもらってから整備する」という進め方はおすすめできません。Stage 1を受審する段階で、認証範囲、サイト構成、リモート支援機能、QMS文書、内部監査、マネジメントレビュー、顧客固有要求事項などを含め、Stage 2へ進むための準備を十分に行っておくことが重要になります。つまり第6版では、認証取得までのスケジュールを逆算したQMS構築がこれまで以上に重要になったといえます。
第6版では、審査工数の削減についても見直されています。Corporate Schemeや製品設計責任の有無など、一定の条件によって審査工数を削減できる場合がありますが、複数の削減条件が適用できる場合でも、削減できる審査工数には合計30%という上限が設定されています。そのため、企業によっては第5版で認証審査を受けていたときと比較して、審査工数や審査費用に影響する可能性があります。特に複数の製造サイトを持つ企業では、Corporate Schemeを含め、現在の認証構造を確認しておく必要があります。
第6版では、審査直前になって資料をまとめるという対応が難しくなっています。認証機関が適切な審査計画を作成するため、企業側は事前にQMSや顧客パフォーマンスなどに関する情報を提出する必要があります。審査準備では、審査日程の調整 → 必要情報の提出 → 認証機関による審査計画作成 → 審査実施という流れを理解しておくことが重要です。特に、顧客情報、顧客固有要求事項(CSR)、顧客パフォーマンス、内部監査、マネジメントレビュー、不適合、支援拠点の状況などは、日頃から整理しておかなければ短期間では準備できません。IATF16949の維持管理を「審査前だけの活動」にしないことが重要です。
IATF16949では以前から顧客満足・顧客パフォーマンスが重視されていましたが、第6版ではその考え方がさらに明確になっています。
OEM等が設定するQuality TargetやDelivery Targetを達成できていない場合、その問題に対する企業の対応状況が審査で重要になります。単に、「不良率が悪化したので対策しました」では十分ではありません。なぜ問題が発生したのか、その原因を分析し、是正処置を実施し、その処置が有効であるか、さらに同様の製品や工程へ水平展開できているかまで確認することが重要です。状況によっては、顧客パフォーマンス不良に関連した追加審査時間やSpecial Auditにつながる可能性もあります。したがって第6版では、顧客Scorecardを単なる営業上の評価として扱うのではなく、IATF16949のQMSパフォーマンスを示す重要な情報として管理することが求められます。
審査で不適合が発見された場合の対応についても注意が必要です。特にMajor Nonconformity(重大不適合)が発生した場合は、短期間で封じ込め、原因分析、是正処置などを進めなければなりません。第6版ではMajor NCについて15日以内の初期対応に関する要求があり、不適合が発生してから対応を検討するのでは遅い場合があります。そのため企業としては、「Major NCが発生した場合、誰が責任者となり、誰を集め、どのように原因分析し、どのように顧客や認証機関への対応を行うか」まであらかじめ決めておくことが重要です。
スリープロサポートはQS9000、ISO/TS16949及びIATF16949:2016で多くのコンサル実績がございます。IATF16949の新規、更新認証のコンサルティングは是非スリープロサポートへお任せください。各コアツール(APQP、MSA、FMEA、SPC、PPAP)セミナーやIATF 16949対応の内部監査員養成セミナーなどIATF16949認証までの一連のサポート、及び単独組織からコーポレート認証まで幅広くサポートさせていただきます。IATF16949のことならお気軽にご相談ください。
◇ IATF16949コンサルティング実績はこちら
◇ IATF16949導入無料セミナー ⇒ 申し込みはこちら
◇ IATF16949コンサルティング見積依頼 ⇒ 申し込みはこちら
HOME IATF16949とは IATF16949取得メリット IATF169491認証支援サービス IATF16949認証フロー IATF16949認証費用